<基礎>
1.パートタイム労働者と正社員はどう違うの?
2.パートタイム労働者を雇用するときに何をしなければいけないの?
3.雇用契約書は、どのような内容を書かなければいけないの?
4.パートタイム労働者の雇用期間はどのようにしたらいいの?
5.パートタイム労働者は、雇用保険に加入しなければいけないの?
6.パートタイム労働者も社会保険に加入しなければいけないの?
Q1.パートタイム労働者と正社員はどう違うの?
A1.会社によって正社員とは別にパートタイム労働者やアルバイトなど違った雇用形態で雇用される従業員がいます。それでは、法律上、正社員とパートタイム労働者やアルバイトは何か違いがあるのでしょうか。よくパートタイム労働者やアルバイトは有給休暇や賞与、退職金がないとか、責任が軽いから自由に休めるなどと思われているケースがありますが、実際は法律上の違いは全くありません。労働法では、「労働者(全ての従業員)」と「使用者(経営者側)」という区分でのみ分けており、労働者の中で正社員とその他の雇用形態の区別はありません。したがって、労働者に認められている年次有給休暇や割増賃金等の労働基準法で定めのある事項については、パートタイム労働者やアルバイトであったとしても、全て法律が適用されることとなります。ちなみに、パートタイム労働者やアルバイトといった言葉は法律用語ではないため、一般的な明確な定義はありません。よって、それぞれの会社の中で労働条件の区分をした場合に言葉を使い分ける必要があれば自由に呼び名をつけることができます。
例えば、時間給で働いている人をすべてパートタイム労働者と呼ぶ、雇用期間のある人をアルバイトと呼ぶなど、会社内の定義さえしっかりしている場合は問題がありません。一番困るケースは、会社側が明確な雇用形態の違いを自ら理解することなく、あいまいなまま言葉を使っていることです。会社側が雇用形態の違いを者えずに何となく区分をつけている場合は、社員の方もどちらの雇用形態なのか判断がつかなくなることもあります。このような場合、退職金や賞与の支給等について後々トラブルとなることもありますので、雇用する際にどのような区分に社員が分けられていて、どの区分で採用されたのかを明確にしておくことが大切です。
Q2.パートタイム労働者を雇用するときに何をしなければいけないの?
A2.パートタイム労働者を雇用する場合は、法律上、労働条件について書面で明示することが必要です。具体的な内容は、雇用契約書や労働条件通知書などで明示することとなりますが、所定の記載項目について事前に社内で検討しておくことが大切です。
【労働条件の検討項目例】
(1)労働日、労働時間の考慮
パートタイム労働者の多くは、家庭生活との両立のために自分の都合に合う一定の就業時間帯を前提として勤務している人たちです。事業主はこのような事情を充分考慮して労働時間、労働日を設定するよう努めて下さい。
(2)社会保険などの適用
パートタイム労働者についても、一定の要件に該当するときは、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の適用手続きを取ることが必要です。
(3)賃金、賞与及び退職金の者慮
パートタイム労働者の賃金は、通常の労働者に比べて年齢、勤続年数に応じた賃金の上昇が少ない特徴があります。パートタイム労働者の賃金、賞与及び退職金については、職務の内容、就業の実態、通常の労働者との均衡を考慮して定めるよう努めて下さい。
Q3.雇用契約書は、どのような内容を書かなければいけないの?
A3.労働基準法は、労働者保護の観点から「使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定しており、労働基準法施行規則は使用者が明示しなければならない労働条件として、次のものを挙げています。
1.労働契約の期間(解雇の事由を含む)
2.就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
3.始業・就業の時刻、休憩時間、休日、休暇、並びに労働者を二組以上に分けて交代勤務させる場合の就業時転換に関する事項
4.賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期、昇給に関する事項
5.退職に関する事項
6.退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算と支払いの方法の時期に関する事項
7.退職手当を除く臨時の賃金等及び最低賃金額に関する事項
8.労働者に負担させるべき食費、作業用品等に関する事項
9.安全及び衛星に関する事項
10.職業訓練に関する事項
11.災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
12.表彰及び制裁に関する事項
13.休職に関する事項
*上記1〜5までは、労働者に書面を交付して必ず明示しなければならない事項で、以下は使用者がこの定めをする場合にだけ明示しなければならない事項です。
Q4.パートタイム労働者の雇用期間はどのようにしたらいいの?
A4.平成16年1月1日より、有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の上限が3年間に延長されました(従来は1年間が上限)。
(1)有期労働契約(期間の定めのある労働契約)について、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、契約期間の上限は原則3年とされました。ただし、有期労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限ります。)を締結した労働者(下記(2)に該当する労働者は除きます。)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます(この措置は、政府が、改正労働基準法の
施行後3年を経過した後に、その施行の状況を勘案しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるまでの間の暫定措置です。)。
(2)また、高度の専門的な知識、技術または経験(以下「専門的知識等」と言います。)を有するものや、満60歳以上の者と有期労働契約を締結する場合の契約期間の上限は5年とされました。法律では、上記の通り雇用期間の上限が3年(満60歳以上の者については5年)となりましたが、パートタイム労働者については、実務上1年以内の契約にして必要があれば更新していくほうが、社員の流動性の確保などメリットがあるものと思われます。また、1ヶ月や2ヶ月などあまり雇用期間が短いと契約更新の手続きが煩雑になり、雇用契約を更新することなくなし崩し的に雇用の継続が行われ、期間の定めのない契約と見なされる恐れがありますので注意が必要です。
Q5.パートタイム労働者は、雇用保険に加入しなければいけないの?
A5.パートタイム労働者等の労働条件が、
@1年以上引き続き雇用されることが見込まれ、
かつ、
A1週間の所定労働時間が20時間以上
の場合には、法律上、雇用保険の被保険者(強制適用)となりますので加入手続をとならなくてはいけません。雇用保険の被保険者は、1週間の所定労働時間が30時間以上の「一般被保険者」と20時間以上30時間未満の「短時間労働被保険者」の2つの区分に
分けられています。一般被保険者は6ヶ月間、短時間労働被保険者は12ヶ月間被保険者期間がある場合、退職後、雇用保険の給付を受ける権利が発生します(給付内容は、ほとんど同じ)。
また、雇入れたパートタイム労働者等が、
@年齢が65歳以上の場合、
A1週間の所定労働時間が20時間未満の場合、
B雇用期間が1年未満の場合
は、雇用保険の適用除外のため、被保険者にはなりませんので加入手続きは必要ありません。なお、昼間部に在学する学生のパートタイム労働者等は、雇用期間や労働時間の長さにかかわらず、雇用保険の適用から除外されています。
Q6.パートタイム労働者も社会保険に加入しなければいけないの?
A6.所定労働日数及び所定労働時間が「通常の社員(いわゆる正社員)」のおおむね4分の3以上である常用的使用関係にある就労者は社会保険の被保険者となります。
所定労働日数及び所定労働時間のおおむね4分の3以上とは、
@1日の所定労働時間
および、
A1月の所定労働目数
が、当該事業所において同種の業務に従事する通常の社員の所定労働時間及び所定労働日数のいずれもおおむね4分の3以上あることをいい、双方が基準を超える場合、被保険者(強制加入)となります。よって、社会保険の適用除外となる労働条件で雇用する場合は、@またはAのいずれかが4分の3を下回るような雇用形態にすることが必要です。また常用的使用関係とは、雇用期間が2ヶ月を超える期間の契約のことをいいます。よって、2ヶ月以内の雇用期間のパートタイム労働者の場合、上記4分の3要件に関わらず、社会保険の被保険者となりません。パートタイム労働者の場合、労働時間等が少ないため年収が健康保険の扶養家族の収入基準(年収130万円未満)に満たないこともありますが、上記の加入基準を超える場合は、勤務先で社会保険の加入が発生しますので注意が必要です。 |